甘い、甘い、ミルクティーの香りが、僕の領域を支配した。
数時間前、奴がいきなりボンゴレ敷地内の僕の部屋にやって来た。
大量の紅茶と、スコーンを持って。
其れからは延々と紅茶を飲まされている。
スコーンは流石に飽きた為、僕は食べていないが、奴は未だに食べ続けていた。
紅茶の方は様々な種類があって余り飽きない。
イタリアで育った奴にとっては馴染みの味なのだろうか。
「こっちに来てからもう一ヶ月経つんですよね」
「そうだね」
「いろいろと懐かしくってつい買っちゃうんですよねー」
奴は顔を綻ばせて笑う。
つられて小さく口元を笑みに形作る。
「其れ位なら付き合ってあげなくも無いけどね」
何時も何時も奴を邪険に扱う僕が、こんな事を言ったのが珍しかったのか、(かなり不本意だが。)一瞬眼を見開き、また笑った。
ちょっと面白くなかったから、奴の胸倉を掴みあげて、触れるだけのキスをする。
「な…ひ、雲雀くん…?」
普段は絶対こんな事してやらないってのに、一体今日は如何してしまったというのか。
焦る奴が何処か可愛い、何て思うのも今日だけ。
あたふたしている其の様から少し視線をずらせば、ミルクティーが入っているカップ。
嗚呼そうか。
此の甘い香りが、僕を可笑しくさせるんだ。
ふっと笑みを零し、視線を戻すと、視界は真っ暗。
「ん…っ」
キスは、上質なミルクティーの様に甘かった。
end.
-------------------------- 柚忌憐枷さまより。FES.6918の時にキリバンでリクさせていただきました! 無理を言って糖度高くしていただきましたでへへ(変態/今更とか言わない しかもこちら、10年後イタリア半同棲編のお話っスよね!!(ぇ もういつお迎えがきても心残りはありません(真顔
柚忌さまホントにありがとうございました!!
|