あくの猫  ⇔          


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ふたつの肌色が白いシーツに沈んでまどろむ。
眠るでもなく覚めるでもなく。

実は、雲雀は行為そのものよりその後にあるこの時間の方が好きだった。骸はと いえば、行為の前のいい雰囲気から後朝の別れまでのあらゆる時間が好きだった 。


「雲雀さん白い」

「悪かったね」


交わす言葉には普段にみられる棘は無い。むしろちいさく笑いまで滲んでいる。


「…雲雀さんて、僕のこと好きなんですか?」


つやつやの黒髪をやさしく撫で、うなじを撫で、囁く。
声はまだ少しかすれている。


「なにそれ」


惜し気なく晒される白い背中を、その骨を指でなぞる。骸の長い指が、ゆっくり 。


「そのままですよ…雲雀さん」

「は…下らない」


そのぞんざいな言い種が引っ掛かったのか、骸はひょいと眉を上げる。雲雀がく るりと骸に向き直る。


「好きか嫌いか、じゃなきゃダメなの」


雲雀は情事後特有の甘さを絡めた視線で骸をみつめる。
骸は心底愉快そうに目を細める。雲雀にはそのオッドアイが麻薬のように思えて ならない。


「まさか」


そうしてまた長い口づけを繰り返す。時折ぶつかる視線はそのままに、温い舌を絡 めて、甘く咬んで、ゆるく吸う。
シーツの白が、二人を世界から隠してくれる。






恋も憎悪も殺意も愛も、
ぜんぶを越えたその果てでありました。









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sotto voce(小さな声で)